ナゲッツボックスの聴き方

CHOIR

 なんて大げさな題をつけましたが、もちろんこう聴かなければいけないわけではありません。昨年RHINOから4枚組BOXの形で復刻された元祖ガレージコンピレーションナゲッツについてその意義を降り返ってみたいと思います。このBOXは、ふだんガレージを聴かない人にも好評な一方で、ガレージマニアは、今さらナゲッツやペブルスなんて と聴きもしないで切り捨ててしまう人もいます。
 

いうまでもなくこれは、もともとレニー・ケイが72年に編集した2枚組でした。今聴くと、メジャーレーベルからリリースされたそこそこヒットした曲で、ガレージファンが食い足りない感じがするのもわかります。だけどこのアルバムが重要なのは、それまで確立されていなかった“’60sガレージ・パンク”という捉え方を提示したことにあるのです。実際この中の何曲かは、それ以前に“なつかしの’60s ポップ”みたいな懐古趣味のアルバムにも収録されていたこともあります。しかし ガレージ・パンクという視点で、並べられた時、ほこりをかぶっていたくすんでいた曲たちが、俄然輝きだしたのです。とはいえ、このナゲッツの最初のリリースは、それほど売れることなくすぐに廃盤になっています。が、この魅力に触発されたグレッグ・ショウたちが、サイアーで、ブリティッシュ・インベイジョンのコンピレーション、プリティシングスのフォンタナ期のベスト、と共にこのナゲッツを再発しました。(現在は廃盤)そしてその延長線上で、ペブルスやボールダーズ、そして更にそれに続く無数のコンピレーションが生まれたことを思うと この最初の1歩の重要性は、はかりしれません。

とはいえ、レニー・ケイ自身にとっては、ガレージ・パンクという視点は、ちょっとした思いつきで、その後ガレージ・パンクの発掘を続けたわけではなく、彼は、ガレージ・パンクについてそれほど詳しいわけではありありません。

 RHINOは、このナゲッツの名義で彼とは無関係にLPやCDのシリーズをリリースしていましたが、オリジナルのナゲッツを発売するにあたり、今となっては、オリジナルそのものの復刻ではそれほど意味を持たないことも承知していました。そこで起用されたのが、ペブルスを作ったグレッグ・ショウに続きガレージ発掘者となったマイク・スタックスでした。今回の4枚組では、レニー・ケイには、敬意を評し、監修者として名前をクレジットしていますが、追加の3枚の選曲、バンドのリサーチについては、マイクが担当しました。そしてその調査の協力者としては、同じく解説を書いているグレッグ・ショウ、ナゲッツ・フロム・ゴールデンステーツというシリーズで西海岸の’60sを発掘しているアレック・パラオ、この他にもガレージ・ファンだったらおなじみの錚々たるメンバーが名を連ねています。そして最初の1枚で提示された世界観がどのように発掘・調査されてきたかが残りの3枚で分かる仕組みになっています。
この3枚は、オリジナル・ナゲッツに比べればマイナーなバンドも多く収録されていますが、現在では、その中の多くが、バンド単独で、(しばしば、未発表曲まで)再発・リリースされているのは、驚くばかりです。Richard and Young Lions

だからこの箱に関しては、レニー・ケイの意向が特に反映されているわけではないのですが、日本では、このあたりも誤解されているように思います。

ただしRHINOは、あくまできちんと版権をとれた曲のみ収録したので、予定がありながら涙をのんで収録を見送られた曲もあります。
ローカルな自主レーベルからリリースされたものも多いガレージの世界では、厳密に版権を追求すると残念ながら全体像がつかめないものがあるのも事実だからです。このBOXに収録されたGANTSもキャピトルから3枚のアルバムをリリースしていますが、メジャーレーベルが再発を考えるには、マイナーな微妙な存在で、多くのガレージファンがアルバムの再発を望んでいるのに現在まで1枚も復刻されていません。(イギリスのバンカルソーからベスト盤がでていたが現在はこれも廃盤)
同様に再発が待たれるのが、?とミステリアンズ。ちなみにガレージコンピレーションでは、ブートと正規盤の境界線があいまいで、中には、レーベルの版権は所有していないもののバンド本人から音源を提供されているセミ・オフィシャルなものもあり、版権が不明確なものを簡単にブートと切り捨てるわけなには、いかない状況があります。
 

え ここまで 読んでも どう聴くべきかちっともわからないじゃないかって? (^^;)

“アート”になる前のロックが、持っていたイノセンスを感じ取れたらそれでOK。もともと難しい音楽ではないのだから。
楽器を持てば誰でもバンドがやれた幸福な時代のティーンエージャーのエネルギーが伝わってくるはず。

というわけで、このナゲッツ・ボックスは、ちょっとガレージも聴いてみよう。これからガレージを極めたいという人には、いきなりの箱モノですが、入門におすすめ。この中で、気に入ったバンドがあったら、ぜひそのバンドの単独アルバムやそのバンドの曲が入ったほかのコンピレーションにトライしてみよう。(ここで気がつくのは、RHINOからは、それらのものがほとんど出ていないかでていても内容が、よくないという事 シャドウズ・オブ・ナイトだってRHINOのベストでなくSUNDAZED盤をGETすること。)

例えば
REMAINSのスタジオ・ライブ Session with Remains (Sundazed)
ZAKARY THACKS のCD (Collectables)
Five Americans の I see The Right(Sundazed)・・ベストも出ているがそっちは、ポップ度が高い

Pebbles,Teenage Shutdown といった 定番コンピレーションのシリーズへ進むのもグー

では、マニアは? 音的には、新鮮さは少ないけど とりあえず聴いて楽しめますゴキゲンな曲の数々。それから解説のブックレット、これだけでも買う価値があります。ガレージがどのように認識され、発掘されてきたかがわかります。
 
 

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